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尊大な演劇セールスマン [演劇]

 仕事で某劇団の関係者と会う。来年度の「芸術鑑賞会」は演劇を生徒に見せることになっているんで、まあいうたら売り込みに来はったんですな。
 一応候補は絞り込んでいる段階なんやけれど、話を聞いて面白そうやったら候補に加えてもええと思うたんです。
 芝居はブレヒトの台本。劇団氏は「新劇のブレヒトはイデオロギーを前面に出すから“ブレヒトはつまらない”といわれるが、うちは違う」と力説。そんなに面白くブレヒトの芝居を演出してるんかと思いながら話を聞く。聞いているうちに「なんか違う」と思いはじめた。あまり面白そうやないんですわ、その説明。
 なにをもって「面白い」と感じるかは人によるけれど、私は「観客に喜んでもらいたい」というところを重視する。小説でもそうで、「読者に喜んでもらいたい」という思いとそれを表現できるテクニックのバランスが取れているものやないと、楽しめん。
 劇団氏の話からはそれが伝わってこなんだ。物語のあらすじを熱く語ってくれるんやけれど、その話のどういうところを特に強調したいのかが伝わってこない。私の心の中では「どう断ろうか」という思いが強くなってきた。
 自分の話を聞いたら、無料の下見会にすぐにでも行きたくなるという自信を持っていたらしい劇団氏は、乗り気やない私の気持ちを察知したんか、「生徒に見せたいものが私たちと違う方には資料をお渡ししても仕方ありませんな」と自分から言い出し、怒ったように帰って行った。別に頼んで来てもろうたわけやなし。なんか後味が悪い終わり方やった。
 そのあと、なんで私はこんなに乗り気にならなんだか、よう考えた。
 わかった。
 話のすべてが上からの目線やったのですね。「私たちの作品は商品じゃないんです」なんていうのね。それやったら無料でやってくれるかというとそうやない。商業演劇みたいにただただ観客を楽しませるということを追求するわけやない芸術なんやということか。
 某劇団は東京の劇団で、劇団氏もそちらの方らしかったけれど、大阪の高校に売り込みに来るのに「商品じゃありません」はまずいというのがわからんのかな。つまりそれは金を払うて見るだけの値打もないもの、という風にもとられまっせ、ということ。「芸術作品を見せてやる」やなく、「お芝居の楽しさを知ってもらいたいから見てもらう」やないとあかんのですよ。
 そんな偉そうなもん、見たないわい。そう思うたから心が動かなんだんやろうな。
 相手を怒らせたらしいのでちょっと対応まずかったかなと気に病んだりもしたけど、それに気づいてやっと治まった。というか、劇団氏の言葉の裏に見え隠れする尊大さに対して不快感が募ってきた。
 東京方面やと「芸術性の高さ」ばっかり強調したら、担当者は「へへーっ、ありがたき幸せにございます」とすぐさま下見に行くんやろうか。
 まあ、劇団氏も運が悪かった。なにしろこちらは「どうせならほんまの吉本新喜劇を生で見せてやって、笑いに体を張る役者たちの迫力を生で楽しんでほしい」と思うたりするような担当者ですんでねえ。

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コメント 2

ふみお

でも小説の場合、何故かこのテのお芸術上から目線がありがたがられ、熱狂的なファンがつくことがままあるんですよねー。なんでだろう……? 
by ふみお (2009-06-07 23:12) 

t-kita

読者がみんな関西人ばかりやないから、なんてのは関係ないか。
by t-kita (2009-06-07 23:24) 

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