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星系出雲の兵站 [SF]

 明け方降雨。傘を持って出るけど、往路も復路も幸い雨にあわず。仕事中は降ったりやんだりやったんですけどね。今日は授業は空き日。一日事務作業に徹する。さくさくとまではいかんまでも、積み残していた仕事を少しばかり進められた。定時に退散。
 帰宅して録画した相撲を見る。ついに稀勢の里に土。初日から5連勝してるんやから、明日から切り替えて最後まで取り切ってほしい。御嶽海は豪栄道に一気にの攻めで敗れ、嘉風にも土。でも鶴竜と高安が元気なんで、優勝争いは面白くなってきた。
 追っかけ再生でプロ野球中継を見る。スワローズ原の前に2安打のみで完敗。原は高山のはずれ1位やんか。高山、早く一軍に戻っといで。
 林譲治「星系出雲の兵站 1」(ハヤカワ文庫JA)読了。人類が植民した出雲星系で、独立をも視野に入れる壱岐星系自治体の領域に異星人らしきものが出現し、ついに戦端が開かれる。本巻の3分の2くらいは出雲星系の設定説明に費やされる。林さんはアイデアの塊みたいな人なんで、この設定もアイデアをたっぷり綿密に盛り込んだもの。ただし、林さんの書き癖で、説明部分とストーリー展開の塩梅がどうしても説明重視になってしまう。むろんその説明がなかったらストーリーを理解でけんようになるということは承知なんやけれど、ここで挫折する人もいてるかもなあ。終盤3分の1くらいからストーリーが一気に動き出し、盛り上がったところで以下次巻。作者あとがきを先に読んでおいたら、林さんの書きたいことが何かわかるから、説明部分をしっかりと読みこもうという気になるかも。物語は始まったばかり。異星人はなぜこの星系に現れたのか、何をしようとしているのかなど、少しずつ解明されていくんやろう。それも林さんらしく理詰めに。楽しみであります。

 9月16日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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トリフィド時代 [SF]

 今日から生徒も登校開始。全校集会という名の始業式で、校長あいさつの後、「いじめアンケート」について全校生徒に告知。今さら足が震えたりはせんけれど、1ヶ月ぶりに生徒の前に立つといささか緊張いたしますなあ。
 集会の後は実力テストの試験監督。というか、障碍のある生徒の代筆。解答用紙はマークシート式。去年の教員免許更新講座のテスト以来ですねえ。均等に塗りつぶすのが難しいうえに、自分のテストやなく生徒のテストやから塗りつぶし方が悪くて結果が悪くなったらいかんから気を遣うね。
 午後からは台風の影響で暴風警報が出たので生徒は完全下校の指示が出る。同僚の中にも時間休をとって早退した人もいてたみたい。ぼっち部屋なんで、そこらあたりの状況がようわからんのです。私は明日から始まる授業の準備など。暴風警報も大雨警報も出ているのに、風はそよとも吹いてへんし、雨も降ってへん。けったいな警報ですわ。大雨が降るかもと大きめの傘を持っていったのに、荷物にしかならなんだ。
 夜になってようやく台風らしく風雨が強くなってきた。ナゴヤドームは台風とは関係なく試合をしていた。タイガースのサヨナラ負け。ナゴヤドームはやはり鬼門か。
 ジョン・ウィンダム/中村融・訳「トリフィド時代 食人植物の恐怖」(創元SF文庫)読了。新訳版が出たんで読み直してみることにした。何十年ぶりの再読でしょうか。彗星の光を見たものはみな盲目になってしまい、光を見ずにすんだ少数の人類は無秩序になった世界にそれぞれの形で秩序を作りあげようとする。しかし人間が無力化した世界には三本脚で移動する食人植物「トリフィド」が増殖し、秩序を作りあげる前に対抗策もとらねばならなくなった。
 SFのアイデアをうまく使うた、無力化した人々がいかに生き残るかというサバイバル小説やったのですね。第二次大戦後すぐに書かれた小説なので、そこらあたりも意識して書かれたんやろうと思われる部分もある。盲目になった人々は敗戦国の国民。生きのびた人々は焼け野原から復興する人々。トリフィドは、大戦後も続く冷戦構造の隠喩、てなところでしょうか。もちろんそこまで深読みせずとも、ゾンビものの原型としてホラー小説として読むもよし、大きなアクシデントに見舞われた人々を描くパニック小説として読むもよし。さすがに70年以上も読み継がれているだけのことはあると、おっさんになって読み返すといろいろと考えさせられてしまうのでした。長い間読み返してへん方は再読することをお薦めします。むろん若い方にもお薦め。

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巨神覚醒 [SF]

 今朝は夏の高校野球の開会式。そのためプリキュアもライダーも戦隊もぶっ飛ばす特別編成。大阪では当たり前なんやけれど、関東では珍しいことらしく、夜にニュースサイトを見たらネット上でブーイングのツイートが多数あったとか。冬に大雪で大慌てする都市部の人を雪国の人が鼻で笑うような感覚ですかな。高校野球シーズンというたらそういうもんやというのが関西では常識ですからね。
 録画して会長あいさつなどは早回しですっとばし、入場行進と皇太子殿下あいさつと選手宣誓などみたいところだけを見る。殿下は来年の今ごろはもう天皇陛下となってはるんやなあ。
 午睡のあとは読書など。夕刻からナイター中継を見る。タイガースは連勝。先発の小野はよたよた、得点は内野ゴロの間の生還とか押し出し死球とかあんまりすかっとしなかったけれど、まあ勝ったからよろし。
 シルヴァン・ヌーヴァル/佐田千織・訳「巨神覚醒 上・下」(創元SF文庫)読了。「巨神計画」の続編。今作では異星からもう一体巨大ロボットがいきなりロンドンの真ん中に出現し、前作で人間が組み立てたロボットと戦うたり、謎の霧を噴出して大量殺戮したりと、なかなか派手な展開。というてもテレビアニメみたいな戦いは1回だけで、基本的には異星人ロボが一方的に地球人を殺戮する話。
 ただ、ここでは異星人ロボ(なんと13体も降下してくる)は地球侵略のためにくるんやないのですね。何のためにくるのかは読んでもらわんとわからんのですが、その手があったかと感心してしもうた。主要登場人物の死もあり、新たな人物も登場し、となかなか先が読めない展開を楽しめた。来春発売予定の「巨神降臨(仮)」ですべては明らかになるらしいけれど、やはり予想外の展開やと解説の堺三保さんが書いてはるので、楽しみに待ちたい。前作も未読の方は三部作全部そろうてから読むのがええんやないかと思います。

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巨神計画 [SF]

 今日も休暇を取り休養に努める。とはいえ一日ゴロゴロしててもなんなんで、雑誌などを買いにコンビニに行ったりはした。朝のうちに行ったんやけれどむちゃむちゃ暑かったんですぐに帰りましたけれどね。
 午前中はたまっているアニメなどを見てから、昼食後に少し午睡。暑くて寝苦しかったのかわりと早く目覚めたので、寝床で読書。去年は教員免許更新のためにダウンロードしたテキストをひたすら読んでいたけれど、今年はそこまでせんでもええ。
 夕刻からはラジオでナイター中継を聞く。今日は地上波もBSも中継なしなのです。こういう時にはタブレットかスマホを買うといたらよかったと思うなあ。もっとも月に1試合あるかないかのテレビ中継なしの日のために月払いでDAZNに入会するのはもったいなくもあろうけれど。まあ、試合はタイガースの負けやったから、明朝の「おはようコールABC」でハイライトを見ればよいか。
 シルヴァン・ヌーヴェル/佐田千織・訳「巨神計画 上・下」(創元SF文庫)読了。「巨神計画」というても、東京ドームでのジャイアンツ対タイガース戦を盛り上げる計画でも、オール阪神巨人の漫才独演会のプランをたてるわけではありません。わざわざ書かんでもわかるか。全国各地から巨大ロボットのパーツが発見される。「インタビュアー」なる謎の人物がいろいろな専門家を呼び集め、ついにパーツをすべてそろえる。操縦できるのはロボットに適合した男女2名のみ。しかし、完成した巨神の強大な力のために国際政治は大きく動き……。なんやしらんテレビアニメの設定みたいやと思うたら、解説には「UFOロボグレンダイザー」が作者のヒントになった、とか。そんなアニメみたいな設定を米国人の作家がどう料理するかというのが読みどころ。ただし、それは私にとって、ですけれど。おーい、話が終わってへんぞ。「インタビュアー」なる人物が何者かもわからんし、巨神をこしらえた古代に地球に来ていた生命体の秘密もわからんし。実はこれは3部作の第1作なのでした。というわけで、実は第2作「巨神覚醒」について「本の雑誌」で山岸真さんが紹介していたのを読んで興味がわいたので、まず第1部を読んでみたのです。子の終わり方やったら第2部も読まなあかんやん。というわけで、「巨神覚醒」も近いうちに読む予定。続けて読んでもええけれど、読みたい本は他にもあるので。そんなこんなで評価は未訳の第3部を読んでから、ということになるかな。

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パラレルワールド [SF]

 今日も今日とて猛暑日。お山の学校の仕事部屋の温度計は、昨日と同じ。夏休み前最後の職員会議で、府教委から「生徒の熱中症予防対策をとるように」と通達がきたと管理職が伝達。私は思わず「教職員の熱中症予防対策についての通達はないんですか」と質問してしまいましたよ。むろんそんなもんはなし。校長は苦し紛れに「クーラーのある部屋で仕事をするようにしてください」と言うたけれど、それができるんならとっくにやっとるわーい。
 とはいえ、やらねばならん仕事はやらねばならん。府教委の通達では熱中症防止に「こまめに休憩をとらせ、水分補給をしっかりさせるよう」言うてきているので、私もそれにしたがいこまめに休憩をとり、水分補給をしっかりしておりました。
 むろん定時に退出。帰宅して録画していた相撲中継を見る。御嶽海は土俵際まで高安を押しこむも高安がつま先立ちで残り、一瞬早く足が出ていて敗れる。もういっちょ、という感じの微妙な一番やったけれど、打ち出しの時間が迫っていたんで取り直しを避けたのかなあ。勘太夫の軍配が御嶽海にあがったくらい。もっともかなり迷ってから上げていたけれど。それでも2敗力士がいなくなったんで、御嶽海優位はまだ変わらんけれどね。
 小林泰三「パラレルワールド」(角川春樹事務所)読了。小林さんからご恵贈いただきました。なななんと地震と洪水で両親を亡くしてしまう男の子の話。この時期の出版はタイミングが合い過ぎですね。ただし、この少年は事故をきっかけに生じた二つのパラレルワールドにほぼ同時に存在するという状況におかれてしまい、「世界A」では父親を亡くし、「世界B」では母親を亡くし……というぐあいで、それぞれの世界に生きている両親の橋渡し役みたいなことをするのです。若い夫婦はそれぞれが亡くなったはずのパートナーとの絆を、息子を通じて結びあう。という作者らしからぬ心温まる物語、ではない。そこはそれ小林泰三さんのことですから、やはりとんでもない邪悪な人物が登場し、物語は急展開。パラレルワールドの縛りをうまく使いながら、家族たちと邪悪な男とのスリル満点の戦いが描かれることになる。そしてまたこの物語は少年の成長物語でもあるのです。とても面白かったです。小林さん、ありがとうございました。小林泰三ファンはもちろん、そうでない方にもお薦めいたします。

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半村良讃 [SF]

 朝から雨。今日は事務作業あれこれ。近隣の花屋に行き、来週の講演会で講師に渡す花束の予約注文をするなど、雑事多し。教員は授業だけしてたらええと思いなや。放課後は奨学金のネット申し込みをまだしてへん生徒の入力に付き添う。定時に帰れるかと思うていたら、そのぎりぎり直前に別の生徒がやってきて、結局30分ほどよけいにかかってしもうた。そやけど「俺は定時に帰るから入力はまた来週」てなわけにはいかんのよ。役所やとそうなるんやろうけれど、教員がそれをしたら今後の信頼関係をも損なうことになるしねえ。
 帰路は晴天。帰宅してすぐにプロ野球中継を見る。仙台でのイーグルス戦。仙台はずっと雨。それでも藤浪が今季初勝利。よかったよかった。交流戦最下位争いの相手だけに、ここで負けたらあかんぞよ。
 日下三蔵・編「日本SF傑作選6 半村良」(ハヤカワ文庫JA)読了。デビュー作の「収穫」をはじめ、「およね平吉時穴道行」「農閑期大作戦」「わがふるさとは黄泉の国」「夢の底から来た男」など初期を代表する短編と、「戦国自衛隊」を収録。
 おもしろい! うまい! 昔読んだ時には気がつかなんだけれど、どの短編も記憶よりもページ数が少ないのですね。そやのにちょっとした中編を読んでいるくらいの中身の濃さがある。「戦国自衛隊」もそう。こんなに短かったっけ、と思いながら一気に読んでしもうた。
 そやからというて大幅に省略されているという感じでもないのが、半村さんの凄さなのですね。大きく深い内容を過不足のない密度で展開させている。ただ、「石の血脈」の原型となった「赤い酒場を訪れたまえ」だけは、多くのアイデアを少ない枚数に詰め込み過ぎたという感じがした。これは仕方ない。あの分厚い大長編を短編の中におさめようとしているんやもんなあ。そら無理があります。「戦国自衛隊」ももう少し枚数がほしかった。歴史改変もののはしりというべき作品やけれど、他の歴史改変ものと違うのは、歴史の流れを調整するために自衛隊がタイムスリップさせられたという発想。歴史の流れが自然法則としてタイムスリップという現象を起こさせたんやないかと、ここらあたりははっきりと種明かしをしてへんのでこちらが想像するしかないんやけれど、大筋としては間違うてへんと思う。ジャンル書評家として一時期は出版される架空戦記を軒並み読んでいた私には、ブーム時に乱造されたものとは一線を画す芯が一本通っていると、改めて感じましたね。
 これで第一世代作家によるSF傑作選の第一期がすべて刊行されたわけやけれど、さて第二期のラインナップはどうなるのか。豊田有恒、山野浩一、高斎正、石原藤夫など実力派はまだまだいてますからね。日下さん、楽しみにしてますよ。

 6月17日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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光瀬龍讃 [SF]

 やはりABC「おはようコール」はちゃんとタイガースの勝利を伝えていました。よかったよかった。
 今日は夏日。さすがにお山の学校でもちょっとばかり汗ばむ。
 とにかく締め切りのあるものから着実に仕事を片付けていく。教材作成には手間取ったけれど、まあなんとか月曜日の授業には間に合うた。水曜日はどうしよう。それでも仕事は家には持ち帰らないのです。
 放課後、会議。勤務時間を過ぎてしまう。なんかしらんけれど出んならん会議が多すぎるなあ。平常の30分遅れのバスに乗り、帰宅。タイガースの試合を見る。藤浪君、復活の道は険しいか。
 日下三蔵・編「日本SF傑作選 5 光瀬龍」(ハヤカワ文庫JA)読了。このシリーズはなにしろ分厚いもので、読了まで思いのほか時間がかかった。
 東キャナル市を舞台にした「宇宙年代記」と同じ舞台で展開される「東キャナル文書」「アマゾン砂漠」「火星人への道」や、「無の障壁」「勇者還る」「スペース・マン」などの初期宇宙ものを収録。宇宙空間での個人のちっぽけさをこれでもかこれでもかとかき続けてはったんやなあ。ストーリーで読ませるというよりも、孤独な世界での人の感情を俯瞰したような作品が多い。いくつかはミステリタッチのものもあり、実は意外に芸域は広い方なのです。実際、私が小学生の時に毎週掲載されていたショートショートは、福島正実さんが少し怖い感じのSF、石川喬司さんがユーモラスなSF、そして光瀬龍さんは謎解きミステリと分担してはった。そやからそのころの私は光瀬さんを推理作家やと思いこんでいたのです。これらのショートショートで単行本となったのは福島さんのものだけ。光瀬さんの子ども向きの謎解きミステリショートショートなんて珍品、日下さんの企画で単行本に収録されたりせんのやろうか。
 脱線した。とにかく光瀬さんはヒトという生き物の小ささと宇宙の大きさを徹底的に追求してはったんや。何のひねりもないストレートな作品が多いけれど、「未来を過去として」書くという姿勢にブレがないのには感嘆。今の若い読者にはどううつるかなあ。

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時空のゆりかご [SF]

 今朝も朝から少しひんやり。お山の学校は曇っていて風が強く体感温度はかなり低かった。たまらずストーブをつける。妻に聞くと、市内はそれほど寒くはなかったらしい。
 明日以降の準備で、教材作成など。今年は久々に日本史を受け持つことになり、南北朝のところなどを復習しつつプリント作成などしているんやけれど、足利尊氏と足利直義兄弟の確執と南北朝の対立が絡まっててややこしくも面白い。昔見た大河ドラマ「太平記」を思い出す。ただ、ドラマで見てる分にはええけれど、教えるとなると難しいなあ。教科書の簡単な記述ではわけがわからんので、プリントで補うしかないんやけれどねえ。専門分野やない科目というのはほんまに大変です。
 退出直前に卒業したばかりの生徒から電話。予約した奨学金が振りこまれてへんという。実は予約をとっただけで正式に手続きをしてなんだのですね。「明日すぐに学生課に行って手続きしなさい」と指導。説明の冊子を全く読んでへんのやなあ。まあ、電話してくるだけよしとせねばなるまい。おかげでバスを1本逃したけれど、私の帰宅が遅れることよりも生徒の奨学金の方が大事やもんな。
 帰宅してプロ野球中継を見る。タイガースが新人高橋遥人投手の素晴らしい投球でカープに連勝し、首位に立った。明日のスポーツ紙が楽しみです。「タイガース川柳」にはきっと秀句がたっぷり投句されることでしょう。来週の入選は難しいな。
 エラン・マスタイ/金子浩・訳「時空のゆりかご」(ハヤカワ文庫SF)読了。夢の未来からタイムマシンで時間遡行したダメダメな主人公のために歴史は私たちの知っている現在のような「悪夢」のようなものに変わってしまう。いろいろあって主人公はまた時間遡行をして自分が歴史を変えた転換点に行くのだが……。ヴォネガットの影響を受けたという作者が描くシニカルなタイムマシンもの。私は時間テーマが好きなんで、久しぶりに新刊の翻訳SFを手にしたのです。大きなテーマは歴史改変の面白さやなく、どの並行世界を主人公が選ぶかという価値観の問題なのですね。なるほど、こういう時間遡行もありかという面白いアイデアもあり、歴史を改変するということに対する重みを感じさせる描写もあり、非常に楽しめた。ラストだけは私の好みやないけれど、作者は映画の脚本家ということなんで、映画にするにはこういうラストやないとあかんのやろうなあ。映画化も決まってるそうです。時間テーマのお好きな方はどうぞ。

 4月15日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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平井和正讃 [SF]

 今日は完全休養日。例によって午前中はテレビを友とする。昼食前、少し寝る。昼食後に午睡しようと思うて布団にもぐりこむけれど、眠気が起こらず。読書に切り替える。
 日下三蔵・編「日本SF傑作選 4 平井和正」(ハヤカワ文庫JA)を読了。「虎は目覚める」「悪徳学園」「エスパーお蘭」「星新一の内的宇宙」などの初期短編と長編「サイボーグブルース」を収録。初期短編は平井さん自ら「人類ダメ小説」と名付けていたそうやけれど、怨念と暴力のパワーがみなぎり、人類に対する絶望感などは全く感じられなんだ。20代に書かれたものがほとんどということで、若さにまかせて叩きつけたというような筆致が目を引く。人類そのものに対する絶望感は眉村卓さんの方が深いんやないかと感じた次第。
 初期の短編はほとんど読んでなかったので、非常に新鮮な印象が残った。人類がダメなのではなく、人間の利己的な部分を拡大して表現したということになるんやないかな。若い作家がほとばしるエネルギーを文章化していったらこうなるという見本のような作品が並ぶ。それだけに漫画原作者として活躍したあとに書かれた長編「サイボーグブルース」は一歩引いた視点から描かれており、絶望しているようで何か救いを求めているようなものが感じ取れた。
 結局平井さんはその救いを新興宗教に求めてしまうことになり、角川文庫版「幻魔大戦」あたりからは作風がからりと変わってしまうことになったわけで、そのことを知っている今、初期作品を読むと、なにやら痛々しい悲鳴をあげながら書いてはるように思えてしまう。そやけど、その悲鳴が作者の個性、魅力となっていたんやないか。そういう意味では新興宗教と平井さんの出会いは、SF界にとっては大きな打撃やったと改めて思うたのでありました。平井さんにとっては、どうやったんやろうか。

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眉村卓讃 [SF]

 本日も完全休養日。お医者の薬は今日の昼まで。午前中はテレビを友とし、昼食後、午睡。夕刻起きてきて、読書。夜の体温は平熱より少しばかり高い。風邪は治ってへんみたい。またお医者に診てもらうてもかわりばえせんやろうし、改源で症状を抑えておくか。できたらあと1週間くらいだらだらと休みたい気分ですけれども。妻から見ると、なんか目も腫れぼったいらしいので、花粉の影響もあるかも。アレグラ錠を服用したら、鼻の具合はましになった。
 日下三蔵・編「日本SF傑作選・3 眉村卓」(ハヤカワ文庫JA)を読了。初期の作品から「下級アイデアマン」「わがパキーネ」などの異世界接触ものと、「産業士官候補生」などのインサイダーSFを収録。私の場合、眉村さんというと「ねらわれた学園」「まぼろしのペンフレンド」「なぞの転校生」などの一連のジュヴナイルSFや「司政官」シリーズなどは読んでいたけれど、初期の短編集はあまり読んでなんだ。そのため今回初めて読む作品も多く、ありがたかった。
 一読、驚いた。初期の眉村作品のシニカルなこと! いわゆるデッドエンドというべき結末が圧倒的に多いのですね。そうならなくても、なにやら皮肉な将来を暗示して終わっていたり。ここらあたり、第一世代の作家群の中ではかなり異色な存在やなかったろうか。
 特に異世界との接触ものでは、地球人からの視点で描かれたものは少なく、異世界人(宇宙人など)の視点から地球人を見た作品がほとんど。星新一さんや小松左京さんとはまた違う突き放し方ですね。後半に収録されたインサイダーSFでも、やはり人間に対して悲観的な作品が中心。小松さんは人間を最後のところでは信頼していたのかもしれんけれど、この時期の眉村さんは絶望してはったんかなあ。
 これはもう近著にも手をのばしてどう変化しているかを確かめたくなりますね。
 よう考えたら、ジュヴナイルSFでも人類の描き方はけっこうえぐかったりするなあ。むろん子ども向けに希望を持たせるような結末にはしてはったけれど。
 このシニカルさは昨今のSFには見られないものかも。若い読者にぜひ読んでもらいたくなる一冊でありました。

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